センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,エタノールの脱水反応の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | エタノールの脱水反応 |
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年度 | 2014年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第4問-問5 |
配点 | a‐3,b‐3 |
計算問題 | × |
難易度 | 普通 |
正解
a ⑤ 捕集した気体は,触媒を用いて3分子を重合させると,ベンゼンになる。
b ⑤ エタノール2分子から,水1分子がとれて縮合した化合物である。
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解説
a ① この実験では,反応温度によって生成物が異なります。そのため,正確な反応温度を知る必要があります。
160~170℃では,脱離(分子内脱水)がおこり,エチレンを生じます。
CH3CH2OH → CH2=CH2 + H2O
130~140℃では,縮合(分子間脱水)がおこり,ジエチルエーテルを生じます。
2C2H5OH → C2H5OC2H5 + H2O
② 発生する気体はエチレンで,水に溶けにくい物質です。
③ 炭素原子間に二重結合がある場合,その2つの炭素原子とその炭素原子に直接結合している4つの原子は,同一平面上にあります。
ちなみに,炭素原子間に三重結合がある場合,その2つの炭素原子とその炭素原子に直接結合している2つの原子は,一直線上にあります。
④ 塩化パラジウム(Ⅱ)PdCl2および塩化銅(Ⅱ)CuCl2を触媒としてエチレンを空気酸化することで,アセトアルデヒドを得ることができます。
2CH2=CH2 + O2 → 2CH3CHO
普段の学習ではあまり見かけない反応ですが,センター試験では2009年の第4問-問4や2012年の第4問-問6で出題されています。
⑤ 3分子重合でベンゼンC6H6を生じるのは,アセチレンCH≡CHです。このとき,赤熱した鉄管または石英管を通すことで反応がおこります。
3CH≡CH → C6H6
b エタノールやその酸化によって生じるアセトアルデヒド,酢酸は,いずれも水に溶けるので,油滴として水面に浮かぶことはありません。
また,上述したように,④のエタノール1分子から水1分子がとれた化合物はエチレンであり,気体です。液体の油滴として水面に浮かぶことはありません。
⑤のエタノール2分子から水1分子がとれた化合物はジエチルエーテルであり,その沸点は34℃です。反応時は気体ですが,水上置換のときに冷却されて液体になります。また,水に溶けず,密度が水よりも小さいので,油滴として水面に浮かびます。
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