化学基礎の「イオンの電気泳動」の実験について,分かりやすく解説しているNet参考書です。
高校化学Net参考書 ~実験指針書「化学基礎」~
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「イオンの電気泳動」の実験の目的
イオンが電荷をもっている粒子だということを理解するための実験です。電源の正極とつながっている方はプラスの電気が強く,マイナスの電荷をもつ陰イオンが引き寄せられます。負極とつながっている方はマイナスの電気が強く,プラスの電荷をもつ陽イオンが引き寄せられます。
色の付いているイオンも,覚えていきたいところです。塩化カリウムKClの水溶液が無色だということから,カリウムイオンK+も塩化物イオンCl-も無色のイオンだということが分かります。これと比較することで,塩化銅(Ⅱ)CuCl2が青色なのは,銅(Ⅱ)イオンCu2+が青色だからだと判断できます。また,過マンガン酸カリウムKMnO4が紫色なのは,過マンガン酸イオンMnO4-が紫色だからだと判断できます。
準備
- 器具の準備
- 全体
- 薬さじ×3(塩化銅(Ⅱ)用,過マンガン酸カリウム用,塩化カリウム用)
- 300mL-ビーカー(塩化カリウム水溶液の色の演示用)
- 班ごと
- スライドガラス×2
- ろ紙×2
- 100mL-ビーカー×1(硝酸カリウム水溶液用)
- 駒込ピペット×1(硝酸カリウム水溶液用)
- 目玉クリップ×2
- 電源装置または乾電池(20V以上程度)
- 導線
- 試薬の準備
- 2%硝酸カリウム水溶液
- 塩化銅(Ⅱ)
- 過マンガン酸カリウム
- 塩化カリウム
実験操作
- ろ紙を長方形に切る。このとき,目玉クリップで挟めるように,スライドガラスよりも長くしておく。
- 長方形に切ったろ紙をスライドガラスにのせ,駒込ピペットで硝酸カリウム水溶液を滴下して含ませる。
- 薬さじの後ろの小さい方を使って塩化銅(Ⅱ)の粉末を2.のろ紙の上に散らし,スライドガラスを重ねる。はみ出したろ紙とともに,スライドガラスの両端を目玉クリップで挟む。
- 電源装置または電池(20V以上)を目玉クリップに接続し,電圧をかけて変化のようすを観察する。
- 過マンガン酸カリウムの粉末でも同様に実験する。
注意点
- 時間がかかってしまうので,私は電気泳動している間に演示を交えてイオンの色の話をしています。
- 時間的な余裕がなさそうなら,塩化銅(Ⅱ)と過マンガン酸カリウムの実験を並列回路で同時に進行したり,ろ紙のスペースを分けて一度に実験したりすることも可能です。
- 硝酸銀水溶液を使って塩化物イオンの移動を確認することもできますが,色が確認しづらい(ろ紙と同じ白色。光を当てて銀を遊離させるのも時間的に難しい)ので私は実施していません。
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