化学基礎の「水溶液の調製」の実験について,分かりやすく解説しているNet参考書です。
高校化学Net参考書 ~実験指針書「化学基礎」~
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「水溶液の調製」の実験の目的
メスフラスコを用いて,正確な濃度の水溶液を調製する実験です。モル濃度の計算方法の確認や,メニスカスとはどういうものかということを確認します。ここでは,濃度が異なる数種類の水溶液を調製し,沈殿の量からその濃度の違いを視覚的に捉えたいと思います。
塩化ナトリウムと硝酸銀を用いて沈殿させていますが,水酸化バリウムと希硫酸などでも同様の実験を行うことができます。硝酸銀が勿体無いとか,あえて複雑な計算をさせるために液体から水溶液を調製したいという場合は,いろいろな工夫ができると思います。
準備
- 器具の準備
- 全体
- 電子天秤(班の数に応じて)
- 薬さじ(塩化ナトリウム用)
- 50mL-ビーカー×1(硝酸銀水溶液用)
- 駒込ピペット×1(硝酸銀水溶液用)
- 班ごと
- 薬包紙×1(塩化ナトリウム用)
- 50mL-ビーカー×1(溶解用)
- ガラス棒×1(溶解用)
- 100mL-メスフラスコ(調製用)
- 試験管×1(他班との濃度比較用)
- 試薬の準備
- 塩化ナトリウム
- 0.1mol/L硝酸銀水溶液
実験操作
- 班ごとに,0.18g,0.37g,0.73g,1.46g,2.93g,5.85g,11.7gの塩化ナトリウムを量り取る。(クラスの状況に合わせて設定してください。)
- 50mL-ビーカーに1.の塩化ナトリウムと適量の水を加えて,ガラス棒を用いてすべて溶かす。
- 100mL-メスフラスコに2.をすべて移す。ビーカーの内壁やガラス棒に付着している水溶液も,少量の水ですすいでメスフラスコに移す。
- 穏やかに水を加え,メニスカス(表面張力によって液体の表面にできる曲面)の底部を標線に合わせる。
- 栓をしっかりと閉めて,溶液をよく混ぜる。このとき,上下を何度か逆にすると混ざりやすい。
- 調製した水溶液5mLを試験管に取り,0.1mol/L硝酸銀水溶液を1mL加える。
- 濃度が異なる他の班の水溶液と並べて,沈殿による濁り具合の違いを比較する。
注意点
- 正確に量り取った試薬をすべてメスフラスコに入れるため,ビーカーやガラス棒は2,3回すすいで洗液を移す。
- メスフラスコに水を加えるときは,穏やかに加える。これは,水溶液が泡だってメニスカスが読めなくなるのを防ぐためです。
- また,メスフラスコの標線を超えないようにしますが,わずかに超えてしまった場合は,スポイトや駒込ピペットで吸い取ります。穏やかに水を加えているので,液面付近には塩化ナトリウムがないと考えます(高校生の実験だという前提での行動であり,厳密な研究ではご法度です)。
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