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共有結合の結晶(共有結晶)
非金属元素だけでできている物質は,そのほとんどが小さな分子(水H2O,二酸化炭素CO2など)をつくっています。そして,小さな分子が多数集まって結晶をつくります。しかし,不対電子の多い炭素Cやケイ素Siを中心とする一部の物質は,すべての原子が共有結合でつながった巨大分子をつくります。
このようにすべての原子が共有結合でつながってできた結晶を共有結合の結晶(共有結晶)といいます。大きな分子として存在していますが,分子を構成する原子の数が決まっていませんので,分子式ではなく組成式を用いて表します。
共有結合の結晶(共有結晶)は,すべての原子が共有結合という強い結合でつながっているので,次のような特徴があります。
- 融点が極めて高く,硬い(黒鉛は例外)。
- 電気を導かない(黒鉛Cは例外,ケイ素Siは半導体)。
- 水にも有機溶媒にも溶けない。
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ダイヤモンドC
炭素原子は4つの不対電子をもっています。そのため,別の4つの炭素原子と共有結合をつくることができます。結合した炭素原子も4つの炭素原子と結合しており,ここに結合している炭素原子も4つの炭素原子と結合しており,・・・・・・,というように,すべての炭素原子が共有結合で結合しています。
1つの炭素原子(濃い灰色)に注目し,そこに結合している4つの炭素原子(うすい灰色)を見てみると,メタンCH4と同じく正四面体になっています(重なりが多くなって上手く描けませんでした)。分子構造模型
を組み立ててみれば,立体的に構造を把握することができます。
黒鉛C
黒鉛Cは,ダイヤモンドと同素体の関係にあります。炭素原子の4つの不対電子のうち3つを共有結合につかっています。1つの炭素原子から平面上に3つの単結合があり,それぞれ120°の角度になっています。正六角形がつながった蜂の巣のような平面構造の巨大分子です。
黒鉛Cは,他の共有結合の結晶(共有結晶)と性質が異なります。
まず,電気をよく導きます。これは黒鉛でできている鉛筆の芯が電気を通すことからも分かります。炭素原子の4つの不対電子のうち,3つは共有結合に使われています。残った1つの不対電子が金属の自由電子のように移動することができるため,電気を通すのです。
また,軟らかいというのも特徴です。黒鉛の分子は平面状になっており,目に見える黒鉛は,黒鉛の分子が層状に重なっています。重なっている分子どうしは弱い力で結びついているだけなので,摩擦などで簡単にはがれます。鉛筆で字が書けるのは,はがれた黒鉛が紙に残るからなのです。
ケイ素Si
ケイ素の単体Siは,自然界に存在していません。二酸化ケイ素SiO2から酸素原子を取り除くことで得ることができます。
SiO2 + 2C → Si + 2CO
ケイ素SiはダイヤモンドCと同じ結晶構造をしています。ただ,わずかに電気を通す(半導体としての性質をもつ)ので,コンピュータの集積回路や太陽電池などに用いられています。
二酸化ケイ素SiO2
二酸化ケイ素SiO2は,石英や水晶,珪砂などの主成分として地殻中に多く存在しています。融点が高く,硬いという共有結合の結晶(共有結晶)の特徴どおりの性質をもっています。
結晶構造は,ケイ素の単体Siからイメージすることができます。ケイ素の単体のSi-Si結合の間に酸素原子Oが割り込んだ構造(Si-O-Si)をしています。
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