高校化学Net参考書「化学基礎」酸と塩基の反応 > 中和の量的関係

中和の量的関係

 中和反応のページで説明した通り,中和反応は,HとOHが反応してH2Oを生じる反応です。
   H + OH → H2O

 ここから,反応する水素イオンHと水酸化物イオンOHの物質量は等しいことがわかります。

 もし,HとOHの物質量が違うなら,多い方が余ることになります。HとOHの物質量が等しいとき,酸と塩基が過不足なく反応することになります。

酸から生じるHの物質量〔mol〕=塩基から生じるOHの物質量〔mol〕」・・・①

 ここで,酸から生じるHの物質量〔mol〕は,「酸の価数×酸の物質量〔mol〕」で求めることが出来ます。価数については,酸・塩基の分類のページで確認してください。

 塩基についても同様に表せるので,①式を次のように変形することもできます。

酸の価数×酸の物質量〔mol〕=塩基の価数×塩基の物質量〔mol〕」・・・②

 ここで,酸や塩基の物質量〔mol〕は,様々な方法で求めることができます。例えば,酸や塩基の質量〔g〕とその分子量・式量から求めることができます。また,気体ならば標準状態の体積〔L〕から物質量を求めることもできます。

 また,水溶液の場合は,「モル濃度〔mol/L〕×水溶液の体積〔L〕=物質量〔mol〕」で求めることもできます。水溶液の体積は,問題文ではmLで与えられることが多いので,Lの単位に変換するのを忘れないようにしてください。

 中和反応のほとんどは,酸の水溶液と塩基の水溶液を混ぜるという方法で行われます。そのため,計算に最もよく利用されるのが,「モル濃度〔mol/L〕×水溶液の体積〔L〕=物質量〔mol〕」です。酸の価数をa,酸の水溶液のモル濃度をc〔mol/L〕,酸の水溶液の体積をv〔L〕とおき,塩基の場合はそれぞれa´,c´,v´とおくと,②式から次の「中和の公式」を導くことができます。
   a×c×va´×c´×v´

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中和の量的関係と酸・塩基の強弱(電離度)

 中和の公式には酸・塩基の価数が含まれています。一方,酸・塩基の強弱(電離度)は含まれていません。このことに疑問を抱く生徒が多くいます。

 これは,「化学」で学習する「化学平衡」という単元と関わる内容なのですが,ここではイメージで説明させていただきます。

 たしかに弱酸は一部だけが電離しているので,水溶液中に存在している水素イオンの物質量は,酸がすべて電離して生じる水素イオンの物質量よりも少ないです。

 しかし,中和反応が起こって水素イオンが減少すると,これまで電離していなかった弱酸の電離が進むのです。
   H + OH → H2O によりHが減少
 ⇒ CH3COOH → CH3COO + H などの反応がさらに起こる

 これらの反応が繰り返されて,最終的にはすべての弱酸が電離することになります。よって,酸の強弱(電離度)に関係なくすべての酸から水素イオンが生じることになるのです。

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