センター試験の化学の演習問題を紹介しています。このページは,陽イオンの分離の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学」~
問題情報
年度 | 2016年度 |
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年度 | 2016年度 |
試験 | 本試験-化学 |
問題 | 第3問-問5 |
単元 | 陽イオンの分離 |
配点 | 4点 |
計算問題 | × |
難易度 | 普通 |
正解
③ 操作cでは,硫化水素を通じる前にろ液を酸性にする必要があった。
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解説
操作a アンモア水を加えたとき,陽イオンはそれぞれ次のようになります。
Al3+:水酸化アルミニウムAl(OH)3として沈殿する。
Ba2+:沈殿せず,Ba2+としてろ液に含まれる
Fe3+:水酸化鉄(Ⅲ)Fe(OH)3として沈殿する。
Zn2+:少量の場合は水酸化亜鉛Zn(OH)2として沈殿する。過剰(多量)に加えると,テトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン(錯イオン)[Zn(NH3)4]2+としてろ液に含まれる。
図3では,操作aのあと,沈殿,ろ液ともに2種の金属イオンを含んでいることから,過剰(多量)のアンモニア水を加えてZn2+を錯イオンにしていることがわかります。
操作b 水酸化ナトリウム水溶液を加えたとき,水酸化アルミニウムAl(OH)3と水酸化鉄(Ⅲ)Fe(OH)3はそれぞれ次のようになります。
Al(OH)3:少量の場合は沈殿のまま。過剰(多量)に加えると,テトラヒドロキシドアルミン酸イオン(錯イオン)[Al(OH)4]-としてろ液に含まれる。
Fe(OH)3:少量の場合でも,過剰(多量)の場合でも,沈殿のまま。
操作bのあと,金属イオンを分離したことから,過剰(多量)の水酸化ナトリウム水溶液を加えてAl3+を錯イオンにしていることがわかります。
操作c ろ液にBa2+が含まれていることから,Zn2+を含む沈殿が生じたことがわかります。Zn2+を含む水溶液に硫化水素を通じるとき,酸性では沈殿を生じず,中性・塩基性では沈殿を生じます。
以上のことから,③の「操作cでは,硫化水素を通じる前にろ液を酸性にする必要があった。」というのが誤りです。
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