センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,フェノールとサリチル酸の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | フェノールとサリチル酸 |
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年度 | 2006年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第4問-問6 |
配点 | 3 |
計算問題 | × |
難易度 | 普通 |
正解
④ 炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると,気体が発生する。
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解説
① フェノールの融点は41℃,サリチル酸の融点は159℃です。どちらも室温が融点よりも低いので,固体として存在しています。
② フェノールとサリチル酸は,どちらも弱酸です。そのため,塩基と中和反応して塩を生じます。有機化合物のナトリウム塩は水に溶けるので,どちらも水酸化ナトリウム水溶液に溶けます。
③ 塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えて呈色するのはフェノール類です。フェノールはもちろんですが,サリチル酸もフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環に直接結合しているヒドロキシ基)をもっているので呈色します。
④ 炭酸水素ナトリウムは,炭酸から生じる塩です。フェノール類,芳香族カルボン酸,炭酸はいずれも弱酸ですが,それぞれの酸の強さは違います。この中では芳香族カルボン酸が最も強く,次に炭酸,フェノール類が最も弱い酸です。酸は,強いものほどイオンや塩になりやすいので,芳香族カルボン酸であるサリチル酸に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると,次の遊離反応が起こります。
C6H4(OH)COOH + NaHCO3 → C6H4(OH)COONa + H2O + CO2
「H2O+CO2」は,遊離して生じた炭酸H2CO3が分解したものです。一方,フェノールは炭酸よりも弱いので,塩になることができません。よって,サリチル酸だけが炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると,遊離して気体が発生します。
⑤ 無水酢酸は,ヒドロキシ基と反応してエステルを生じます。フェノールもサリチル酸もヒドロキシ基をもつので,どちらも無水酢酸と反応させるとエステルが生成します。
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問題 | |
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