センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,アニリンの合成の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | アニリンの合成 |
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年度 | 2010年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第4問-問5 |
配点 | 4 |
計算問題 | × |
難易度 | 難しい |
正解
② 下線部イの操作により全体が均一な水溶液になった。
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解説
① ニトロベンゼンとスズ,塩酸の反応により,アニリン塩酸塩が得られます。ニトロベンゼンは水に溶けにくいので油滴になっていましたが,アニリン塩酸塩は水に溶けるので油滴にはなりません。
2C6H5NO2 + 3Sn + 14HCl → C6H5NH3Cl + 3SnCl4 + 4H2O
② この操作の前に生じている白色沈殿は,スズの水酸化物です。スズは両性金属なので,強塩基の水溶液を加えて水酸化物イオンOH-の濃度が高くなると,錯イオンを形成して水に溶けます。一方,これまで水に溶けていたアニリン塩酸塩は,弱塩基の塩です。強塩基を加えると,弱塩基の遊離が起こって分子に戻り,水に溶けなくなってしまいます。よって,全体が均一な水溶液になったというのは誤りです。
C6H5NH3Cl + NaOH → C6H5NH2 + NaCl + H2O
③ 基本的に,有機化合物(油)は水より密度が小さいので,水に浮きます。そのため,水層が下,エーテル層が上になります。ただし,ニトロベンゼンなど,水より密度の大きい有機化合物も存在します。
④ ジエチルエーテルは揮発性の物質なので,容易に蒸発します。溶媒が蒸発することで,溶けていたアニリンだけを得ることが出来ます。
⑤ アニリンは無色の液体ですが,酸化されると黄色を経て褐色へと変色します。これは,アニリンの酸化が原因です。
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問題 | |
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