問題情報

単元付加反応
年度2010年度
問題番号化学Ⅰ-第4問-問6
配点4
計算問題
難易度難しい

正解

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解説

 元素分析により有機化合物の組成式を求める問題は頻出です。

 まず先に燃焼ガスを塩化カルシウム管に通じて水H2Oを吸収し,次にソーダ石灰管に通じて二酸化炭素CO2を吸収します。それぞれの吸収管の質量増加から,発生した水や二酸化炭素の質量を求めることが出来ます。これらの値から,そこに含まれる水素原子Hと炭素原子Cの物質量〔mol〕を求めることが出来ます。この問題では「炭化水素」を用いていますので,CとHだけでできています。C,Hの物質量の比がわかるので,組成式を示すことが出来ます。

・308mgの二酸化炭素(CO2=44)に含まれる炭素原子(C=12)の物質量〔mmol(ミリモル)〕
   308mg ÷ 44mg/mmol × 1 = 7mmol
      *1mol=1000mmol(1mmol=10-3mol)
      *二酸化炭素分子1個に炭素原子1個なので,1をかけています。

・108mgの水(H2O=18)に含まれる水素原子(H=1.0)の物質量〔mmol〕
   108mg ÷ 18mg/mmol × 2 = 12mmol
      *水分子1個に水素原子2個なので,2をかけています。

 この結果から,CとHの物質量の比は,7:12ということがわかります。

 炭素数7の炭化水素なので,水素原子数は12です。よって,実験に用いた鎖式不飽和炭化水素の分子式はC7H12だとわかります。

 ここで,選択肢は①と⑤に絞られます。

 次に,生成物に含まれるBrの質量の割合から,付加反応の量的関係を求めます。臭素Br2は,二重結合1か所に対して1分子が付加します(選択肢にはありませんが,三重結合なら,1か所に対して2分子の臭素Br2が付加します)。

 この不飽和炭化水素1分子に二重結合がnか所あるとおくと,その付加反応は次のように表すことが出来ます。
   C7H12 + nBr2 → C7H12Br2n

 生成物の分子量は,12×7 + 1.0×12 + 80×2n です。このうち,臭素原子だけの値は,80×2n です。その割合が77%なので,次の方程式が成り立ちます。
   (80×2n)/(12×7+1.0×12+80×2n)×100=77

これを解いて,n=2 です。

 センター試験のように選択肢がある場合は,方程式を解くよりも,候補となる値を代入して確認する方が,計算が楽です。上記のように,選択肢①と⑤に絞られており,それぞれ二重結合の数は1か所と2か所です。n=1を代入すると臭素の質量の割合は62.5%,n=2を代入すると76.9%です。よって,二重結合は2か所だと判断することが出来ます。

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問題付加反応の問題
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