問題情報

単元反応熱
年度2011年度
問題番号化学Ⅰ-第2問-問2
配点3
計算問題×
難易度難しい

正解

⑤ 水(気)の生成熱は,水(液)の生成熱と水(液)の蒸発熱の和に等しい。

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解説

① 氷を加熱する(エネルギーを与える)と,水になります。このように,融解は吸熱反応です。このときに吸収する熱量を融解熱といいます。

② 水を加熱する(エネルギーを与える)と,水蒸気になります。このように,蒸発も吸熱反応です。このときに吸収する熱量を蒸発熱といいます。

③ 生成熱は,その化合物の構成元素の最も安定な単体から,化合物1molが生成するときに出入りする熱量です。水の生成熱は,次のように表されます。
   H2(気) + 1/2O2(気) = H2O(液) + Q〔kJ〕

 また,燃焼熱は,その物質1molを完全燃焼したときに発生する熱量です。水素の燃焼熱は,次のように表されます。
   H2(気) + 1/2O2(気) = H2O(液) + Q〔kJ〕

 注目する(1molに設定する)物質は異なりますが,結局は同じ熱化学方程式になるので,その反応熱の値も等しくなります。

④ 生成熱は,その化合物の構成元素の最も安定な単体から,化合物1molが生成するときに出入りする熱量です。水(固)も水(気)もH2Oですから,構成元素の最も安定な単体はH2(気)とO2(気)で同じです。

 一方,水(固)を加熱する(エネルギーを与える)ことで水(液)を経て水(気)になるわけですから,水(固)よりも水(気)の方が大きなエネルギーをもっています。

エネルギー図 これらをエネルギー図で表すと,右図のようになります。水(固)への変化の方が水(気)よりも大きな熱量が放出されていることがわかります。よって,水(固)の生成熱は,水(気)の生成熱より大きいです。


⑤ ②で解説したように,蒸発熱は吸熱反応です。そのため,熱化学方程式では負の値で書きます。しかし,「必ず」吸熱反応なので,文中で蒸発熱を示すときには「絶対値」で書くことになっています。

エネルギー図 水(液)の生成は発熱反応,水(液)の蒸発は吸熱反応なので,エネルギー図では,一度下がったあとに上昇します。しかし,絶対値を足してしまうと,どちらも発熱反応として扱っていることになるので,蒸発でもエネルギーが下がることになってしまいます。

 よって,水(気)の生成熱が,水(液)の生成熱と水(液)の蒸発熱の和に等しいというのは誤りです。

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