センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,アンモニアソーダ法の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | アンモニアソーダ法 |
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年度 | 2012年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第3問-問7 |
配点 | 4 |
計算問題 | × |
難易度 | 難しい |
正解
⑤ 図1の製造過程において必要なCaCO3とNaClの物質量は等しい。
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解説
アンモニアソーダ法(ソルベー法)は化学反応式が多く,複雑な工業的製法に見えますが,最初の炭酸水素ナトリウムNaHCO3を沈殿させる反応以外は,こことは別に学習する反応ばかりです。いい復習になりますので,すべてを書き出せるように練習しておきましょう。
NaCl + H2O + NH3 + CO2 → NaHCO3 + NH4Cl・・(1)
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2(炭酸水素ナトリウムの熱分解)・・(2)
CaCO3 → CaO + CO2(炭酸カルシウムの熱分解)・・(3)
CaO + H2O → Ca(OH)2(塩基性酸化物と水の反応)・・(4)
Ca(OH)2 + 2NH4Cl → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O(弱塩基の遊離)・・(5)
上の2つが,炭酸ナトリウムの製造の化学反応式です。下の3つは,材料である二酸化炭素CO2とアンモニアNH3の製造です。副生成物のNH4Clなどを無駄なく再利用しています。
量的関係としては,全体を1つの化学反応式にまとめると,解きやすい問題が多いようです。(1)の化学反応式だけ両辺を2倍,その他の式はそのままで,辺々を足し合わせると,再利用した物質が消去され,スッキリした反応式になります。
2NaCl + CaCO3 → Na2CO3 + CaCl2・・(6)
① 化合物AはアンモニアNH3です。アンモニアは水によく溶け,水溶液は塩基性を示します。
② 化合物Bは二酸化炭素CO2です。二酸化炭素を石灰水に通じると白濁します。
③ (1)の変化です。溶解度の一番小さい炭酸水素ナトリウムNaHCO3が沈殿します。
④ (6)において,アンモニアNH3も塩化アンモニウムNH4Clも残りません。つまり,全体でみれば,消費もされず増えもしないということで,物質量の合計は変化しません。かたちを変えながら,再利用されているということです。
⑤ (6)において,CaCO3とNaClの係数が異なります。よって,必要なCaCO3とNaClの物質量が等しいというのは誤りです。
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問題 | |
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