センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,硫黄の化合物の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | 硫黄の化合物 |
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年度 | 2013年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第3問-問4 |
配点 | 3 |
計算問題 | × |
難易度 | 易しい |
正解
② 硫化水素は,ヨウ素によって還元される。
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解説
① 亜硫酸水素ナトリウムNaHSO3は,弱酸である亜硫酸H2SO3からできる塩です。そのため,亜硫酸水素ナトリウムに強酸を加えると,弱酸の遊離により亜硫酸が生じます。生じた亜硫酸H2SO3が分解して水H2Oと二酸化硫黄SO2を生じます(炭酸H2CO3が遊離したときに二酸化炭素CO2を生じるのと同じ理屈)。
NaHSO3 + H2SO4 → NaHSO4 + H2O + SO2
② 硫化水素H2Sとヨウ素I2の反応は,次のように表されます。
H2S + I2 → S + 2HI
このとき,硫化水素中のSの酸化数は,-2 → 0 と増加しており,還元ではなく酸化されていることが分かります。硫化水素H2Sは通常,還元剤としてはたらきます。相手を還元するときに,自身は酸化されるのです。
③ 硫化水素H2Sは,水素原子を2つとも水素イオンH+として放出することができるので,2価の酸です。
酸の強弱は暗記です。強酸が圧倒的に少ないので強酸を覚えてしまい,それ以外の酸を弱酸と判断します。
強酸:硫酸H2SO4,硝酸HNO3,塩化水素HCl,臭化水素HBr,ヨウ化水素HI
上記の①にある亜硫酸H2SO3は硫酸H2SO4と似ているため強酸と思いがちですが,覚えておきたい強酸に含まれていないので弱酸だと判断してください。
④ 濃硫酸の代表的な性質の1つに「脱水作用」があります。別の分子中に含まれている水素原子Hと酸素原子Oを2:1の比で奪い取り,水分子H2Oをつくります。有機化合物に濃硫酸を作用させると,多くの場合は炭素原子Cが残って黒くなります。
C12H22O11 → 12C + 11H2O
⑤ 濃硫酸は大きな溶解熱(95kJ/mol)をもっており,水に加えると発熱します。
濃硫酸に水を加えると,少量の水が一気に加熱されて沸騰し,濃硫酸とともに飛び散ってしまい危険です。濃硫酸を希釈するときは,多量の水に濃硫酸を少しずつ加えましょう。
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