センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,中和滴定曲線の解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | 中和滴定曲線 |
---|---|
年度 | 2009年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第2問-問3 |
配点 | a‐3,b‐3 |
計算問題 | ○ |
難易度 | 難しい |
正解
a‐③ 中和点における水溶液のpHは7である。
b‐⑤ 0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液
スポンサーリンク
解説
a ① 一価の酸が強酸なら,0.1mol/LでpHは1であり,これよりも高い濃度だとpHはさらに小さくなります。グラフでは,pH2.5付近であり,強酸の場合よりも中性に近い値です。このことから,この1価の酸は弱酸であると考えられます。
② 加えられた塩基は,酸の水溶液と反応している状態です。つまり,反応させていない状態よりも,中性に近づいているはずです。グラフでは,酸の水溶液と反応しているにもかかわらずpH12を超えており,反応させていない状態でももちろんpHは12より大きいと考えられます。
③ 中和点は,pHが大きく変化(pHジャンプ)したところの真ん中あたりにあります。グラフから読み取れるように,中和点はpH9付近にあります。
④ 指示薬は,その変色域がpHジャンプの範囲に含まれている必要があります。フェノールフタレインの変色域はpH8.0~9.8なので,pHジャンプの範囲内にあります。
⑤ 硫酸H2SO4は,2価の酸です。1価の酸に比べて,2倍の物質量の塩基を必要とします。ただし,この実験で用いている1価の弱酸の濃度0.2mol/Lに対して半分の濃度0.1mol/Lしかありません。濃度で考えれば,半分の物質量の塩基で中和することが出来ます。体積は同じなので,考慮する必要はありません。結局,2倍の半分なので,同じだけの塩基の水溶液(20mL)が必要です。
b 中和点が塩基性側にあることから,滴定に用いた塩基は「強塩基」であると考えられます。よって,アンモニア水ではなく,水酸化ナトリウム水溶液です。
また,モル濃度については,中和の量的関係から求めます。中和反応における量的関係は,
「酸から生じるH+の物質量〔mol〕=塩基から生じるOH-の物質量〔mol〕」
で表すことが出来ます。また,酸から生じるH+の物質量〔mol〕は,
「酸の価数×酸の物質量〔mol〕」
で求めることが出来ます。また,水溶液の場合は,「モル濃度〔mol/L〕×水溶液の体積〔L〕=酸の物質量〔mol〕」となることから,
「酸の価数×モル濃度〔mol/L〕×水溶液の体積〔L〕」
で求めることもできます。塩基から生じるOH-の物質量〔mol〕も同様です。ここで,水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度をc〔mol/L〕とおくと,次の式が成り立ちます。
1 × 0.2mol/L × 0.01L = 1 × c × 0.020L
これを解いて,c=0.1mol/Lです。
スポンサーリンク
問題 | |
---|---|
ワードファイル |