センター試験の化学Ⅰの演習問題を紹介しています。このページは,エステルの解説です。
高校化学Net参考書 ~センター試験演習「化学Ⅰ」~
問題情報
単元 | エステル |
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年度 | 2011年度 |
問題番号 | 化学Ⅰ-第4問-問5 |
配点 | a‐3,b‐3 |
計算問題 | × |
難易度 | 難しい |
正解
④ 操作2の中和の結果,試験管Aの内容物が分離したとき,生成物の層は下層であった。
② 反応後の溶液からは,酢酸の刺激臭がした。
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解説
a ① この実験では,酢酸やエタノールなどの比較的沸点の低い物質を加熱しています。また,生じるエステルはさらに沸点の低い物質です。そのため,突沸を避けるために沸騰石を入れています。
② 先述のように,沸点の低い物質を加熱しているので,内容物が気体となってしまいます。これらの物質が外部に出ていかないようにするために,気体を冷却して液体にして,試験管Aに戻しています。
③ 炭酸はカルボン酸よりも弱い酸です。そのため,硫酸や酢酸が残っている試験管Aに炭酸塩である炭酸水素ナトリウムを加えると,次に示すような弱酸の遊離が起こって二酸化炭素を生じます。
H2SO4 + 2NaHCO3 → Na2SO4 + 2H2O + 2CO2
CH3COOH + NaHCO3 → Na2SO4 + H2O + CO2
④ 生成物は,酢酸エチルというエステルです。一般に,有機化合物(油)は水よりも密度が小さいので,上層になります。ただし,ニトロベンゼンなどの一部の有機化合物は水に沈みます。
⑤ 分子量の低いエステルは果実の芳香をもち,果実にも実際に含まれています。
b 操作4は,けん化とよばれる反応で,エステルに強塩基を加えて熱すると,カルボン酸の塩とアルコールに分解されます。ここでは,酢酸エチルのけん化により,酢酸ナトリウムとエタノールを生じます。
CH3COOC2H5 + NaOH → CH3COONa + C2H5OH
① 反応前には,水に溶けにくい酢酸エチルがあるので,2層に分離しています。反応後には酢酸エチルが分解されて,水に溶けやすい酢酸ナトリウムとエタノールを生じています。水に溶けにくい物質がない状態になっているので,均一な溶液になります。
② 酢酸は,イオンの状態では臭いがありません。反応後は塩基性の水溶液になっており,分子の状態の酢酸CH3COOHが存在せず,すべて酢酸ナトリウムCH3COONaになっています。よって,酢酸の刺激臭がするというのは誤りです。
③ 上記のように,エタノールが生成しています。
④ エステルに強塩基を加えて熱すると,カルボン酸の塩とアルコールに分解されます。この反応を,けん化とよんでいます。
⑤ 酸を用いてエステルを分解する変化は,エステルの加水分解とよばれます。カルボン酸とアルコールに分解されます。酢酸エチルを加水分解すると,酢酸とエタノールを生じます。水に溶けにくい物質がない状態になっているので,均一な溶液になります。
CH3COOC2H5 + H2O → CH3COOH + C2H5OH
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