「酸と塩基の定義」のページです。
高校化学Net参考書 ~化学基礎~
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酸性
塩酸(塩化水素という気体の水溶液)や希硫酸は,次のような共通の性質をもっています。
- 青色リトマス紙を赤くする。
- BTB液を黄色にする。
- 亜鉛やマグネシウム,鉄などを溶かす。このとき水素が発生する。
- 酸味がある。
このような水溶液の性質を酸性といい,酸性を示す物質のことを酸とよんでいます。
酸性は,水溶液中のオキソニウムイオンH3O+によるものです。塩酸や希硫酸には,次の反応によってオキソニウムイオンが存在しています。
HCl + H2O → H3O+ + Cl-
H2SO4 + 2H2O → 2H3O+ + SO42-
通常,オキソニウムイオンH3O+は,水H2Oの分を省略して水素イオンH+で表されます。
HCl → H+ + Cl
H2SO4 → 2H+ + SO42-
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塩基性
水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水は,次のような共通の性質をもっています。
- 赤色リトマス紙を青くする。
- BTB液を青色にする。
- フェノールフタレイン液を赤色にする。
- 苦味がある。
このような水溶液の性質を塩基性またはアルカリ性といい,塩基性(アルカリ性)を示す物質のことを塩基とよんでいます。また,塩基のうち,水に溶けやすいものを特にアルカリとよんでいます。
塩基性は,水溶液中の水酸化物イオンOH-によるものです。水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水には,次の反応によって水酸化物イオンが存在しています。
NaOH → Na+ + OH-
NHsub>3 + H2O NH4+ + OH-
ほとんどの塩基は,水酸化ナトリウムのように初めから水酸化物イオンを含んでいます。しかし,アンモニアのように,水H2Oと反応することによって水酸化物イオンOH-を生じるものもあります。
アレニウスの定義(アレーニウスの定義)
上で説明した「酸」,「塩基」の考え方は,アレニウスの定義(アレーニウスの定義)とよばれています。この定義では,次のように酸・塩基を定義しています。
- 水に溶かしたときに,オキソニウムイオンH3O+(水素イオンH+)を生じる物質が酸である。
- 水に溶かしたときに,水酸化物イオンOH-を生じる物質が塩基である。
ブレンステッドの定義(ブレンステッド・ローリーの定義)
アレニウスの定義を拡張することで,酸と塩基を広く定義することができます。ブレンステッドは,水素イオンH+の受け渡しに注目して新たな酸・塩基の定義を提唱しました。ブレンステッドの定義では,次のように酸・塩基を定義しています。
- 化学反応において,水素イオンH+を相手に与える物質が酸である。
- 化学反応において,水素イオンH+を受け取る物質が塩基である。
ブレンステッドの定義は,アレニウスの定義と比較して次のような特徴があります。
反応する相手によって,酸・塩基のどちらにもなり得る物質がある。
HCl + H2O → H3O+ + Cl- (H2OはH+を受け取っているので塩基)
NH3 + H2O → NH4+ + OH- (H2OはH+を与えているので酸)
水溶液ではないもの(気体どうしの反応)などにも適用することができる。
HCl + NH3 → NH4Cl
イオンを酸・塩基に分類することができる。
CH3COO- + H+ → CH3COOH
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