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人間生活の中の化学

 化学は,物質の性質や変化を扱う学問です。私たちの身のまわりには多くの物質が存在しており,それらの物質の性質を学び,どのように変化するのかを理解する必要があります。

 ここでは,人間生活を支える物質として,その特性を生かして使われている金属やプラスチックについて学びます。これらの物質の製造方法や再利用は,化学の研究成果に基づいています。

金属

 私たちは,多くの金属を利用しています。その大部分が鉄Feで,アルミニウムAl,銅Cu,亜鉛Znなどが続いています。

 金属には,電気をよく通す性質(電気伝導性)や,熱を伝えやすい性質(熱伝導性)があります。また,たたくと薄く広がったり(展性),強い力で引っ張ると細く伸びたりします(延性)。光を反射する(金属光沢)のも大きな特徴です。

 これらの金属は,自然界では鉱石として存在しています。つまり,酸素原子Oや硫黄原子Sと結びついた状態で存在しているのです。そのため,金属を利用するためには,化学反応を利用して鉱石から金属を得る必要があります。

 鉄Feは金属として最も多く利用されていますが,地殻中にはアルミニウムAlに次いで2番目に多い金属です。多くの場合,製鉄の原料となるのは赤鉄鉱Fe2O3です。

 溶鉱炉に赤鉄鉱Fe2O3にコークスCと石灰石CaCO3を加え,高温の空気を送り込むと一酸化炭素COが発生します。一酸化炭素COと反応させて酸素原子Oを取り除く(還元)ことで,鉄Feが得られます。

 Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2

アルミニウム

 アルミニウムAlは,金属の中で最も多く地殻中に含まれています。しかし,鉱石からアルミニウムAlを取り出すことが難しかったため,19世紀後半になってようやく大量に生産されるようになりました。

 ボーキサイトという鉱石から酸化アルミニウムAl2O3をつくり,これを高温で融解して液体にしたものを電気分解する(融解塩電解)ことでアルミニウムAlが得られます。

 アルミニウムAlは鉄Feよりも密度が小さく軽いため,身のまわりで広く利用されています。

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プラスチック

 プラスチックは合成樹脂ともよばれ,石油などから人工的につくることができます。小さな分子を無数に反応させて,非常に大きな分子(高分子)とすることでプラスチックをつくることができます。このような化学反応を重合といいます。代表的なプラスチックを次に紹介します。

  • ポリエチレン
     レジ袋などに広く使われている。
  • ポリプロピレン
     ポリエチレンよりも強度に優れているので,ポリ容器などに使われている。
  • ポリスチレン
     プラモデルや発泡スチロールに使われている。
  • ポリエチレンテレフタラート(PET)
     ポリエステルの一種。ペットボトルやワイシャツやネクタイなどの衣料にも使われている。
  • ナイロン
     世界で初めてつくられた合成繊維。ストッキングなどに使われている。

再利用

 天然資源には限りがあります。そのため,金属やプラスチックを再利用することが求められています。塗装や汚れなどの不純物を取り除き,新しい資源へと生まれ変わらせるのです。この再利用にも化学が活用されています。

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