高校化学Net参考書「化学基礎」物質の構成元素 > 化合物と単体

原子と元素

 鉄の塊を半分に切断しても,鉄としての性質をもっています。さらに分割していくと,鉄としてはこれ以上小さくすることができない状態になります。この最小の粒子を原子といいます。

 この最小の粒子は,鉄以外にも存在していて,自然界には約90種類,人工的につくられているものを含めると110種類以上が確認されています。この原子の種類を元素といいます。元素は元素記号を用いてアルファベット1文字(大文字)または2文字(大文字+小文字)で表されます。代表的な元素については,周期表を確認しながら覚えていきましょう。

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化合物と単体

 水を電気分解すると,水素H2と酸素O2が発生します。このことから,水は「水素H」と「酸素O」の元素を含んでいることがわかります。実際には,水素原子2つと酸素原子1つが結合してH2Oというかたちで存在しています。

物質の分類 水H2Oのように,2種類以上の元素を含んでいる物質を化合物といいます。一方,水素H2や酸素O2のように,1種類の元素だけでできている物質を単体といいます。単体の名称は元素名と同じものが多くありますが,物質そのものを表している場合は単体,構成成分を表している場合は元素です。

同素体

 同じ元素からできている単体でも,性質の異なる物質があります。例えば,酸素O2とオゾンO3はどちらも酸素Oという元素だけでできている単体ですが,性質は違います。

 このように,同じ元素からできている単体性質の異なる物質を互いに同素体であるといいます。特に,単体という部分には注意が必要です。「水H2Oと過酸化水素H2O2」や「一酸化炭素COと二酸化炭素CO2」は同じ元素からできていて性質の異なる物質ですが,化合物(単体ではない)なので同素体とはいいません。

 化学基礎で登場する可能性があるのは,硫黄S,炭素C,酸素O,リンPの同素体です。「スコップどうぞ」と覚えましょう。

元素同素体備考
硫黄S斜方硫黄S8黄色の結晶。常温では最も安定
単斜硫黄S8黄色の針状結晶。
ゴム状硫黄Sx黄色のゴム状物質。不純物が含まれると黒褐色になる。
炭素C黒鉛C層状の分子が重なってできており,はがれやすい。
導電性が高い
ダイヤモンドC無色透明で非常に硬い。電気を導かない。
フラーレン(C60など)球状の分子。
カーボンナノチューブC炭素原子が筒状に結合してできた分子。
直径が約1nm(ナノメートル,10-10m)
酸素O酸素O2無色・無臭の気体。助燃性がある。
オゾンO3淡青色で特異臭の気体。
紫外線を吸収する。酸化作用が強い。
リンP黄リンP4猛毒で自然発火しやすい。水中に保存する。
赤リンPx網目状分子の固体。マッチ箱の側薬に用いられている。

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