高校化学Net参考書「化学基礎」物質量と化学反応式 > 物質量とアボガドロ定数

化学反応と原子の数

 炭素Cの完全燃焼は,次の化学反応式で表すことができます。

   N2 + 3H2 → 2NH3

   化学反応と原子数

 これは,窒素分子1個(窒素原子2個)と水素分子3個(水素原子6個)が反応してアンモニア分子2個(窒素原子2個と水素原子6個)が生成するという,分子や原子の数の関係を表しています。

 化学反応に関係する物質の質量〔g〕などで考えることもありますが,それは相対質量などを考慮したものですので,基本は分子や原子のなのです。

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アボガドロ数

 実際に実験で扱う質量は,gやmgの単位です。分子や原子は非常に小さな粒子ですので,少ない数だと扱うことができません。1023個というような数になると,不便です。そのため,一定の数を1つのまとまりとして扱います

 例えば,ご飯を炊くときに「米15000粒」ではなく「米3合」というようなはかり方をします。計量カップの中に一定数の米粒が入っていて,これを1つのまとまりとして扱っているのと似ています。

 では,「1つのまとまり」をどのようにして決めているのでしょうか。現在は,「質量数12の炭素原子12Cを12g集めたときに存在している原子の数」と定められています。具体的に,その数を求めてみましょう。

 1個当たり80gのボールが960gあるとき,ボールの数は960g÷80g=12個と求めることができます。全体の質量を1個当たりの質量で割ると,その数を求めることができるのです。これを先ほどの「1まとまり」に当てはめてみます。炭素原子1個当たりの質量は1.9926×10-23gなので,この値で全体の12gを割ると,12g÷1.9926×10-23g=6.02×1023個です。

 この「6.02×1023」という1まとまりの数を,アボガドロ数といいます。

物質量

 先ほどの例で,米15000粒を3合として考えました。つまり,5000粒を1まとまりとして1合という別の表し方をしたのです。分子などの粒子も,1まとまりを別の単位で表す方が扱いやすくなります。

 現在は,アボガドロ数(6.02×1023個)を1mol(モル)という表し方をしています。このように,単位として「mol」を用いて表される量のことを物質量とよんでいます。物質量を求めたときには単位としてmolを用いることになります。

アボガドロ定数

 1秒あたり10m移動する速さを10m/秒と表現します。同じように,1molあたり6.02×1023個の粒子があるので,これを6.02×1023個/molと表現したくなります。ただし,科学(もちろん化学も)の世界では「個」という単位を省略してしまいますので,6.02×1023/molと表すことになります。

 この「6.02×1023/mol」をアボガドロ定数といいます。

 「6.02×1023」という1まとまりの数をアボガドロ数といい,これは単なる数です。「1molあたり」という意味を含んだアボガドロ数6.02×1023/molと互いに間違えやすいので気を付けましょう。単位「/mol」の有無でも判断することができます。

物質量と粒子の数

 分子に限らず,原子だろうがイオンだろうが米粒だろうが6.02×1023個が集まれば1molです。
2molならば6.02×1023個×2=1.20×1024個です。
3molならば6.02×1023個×3=1.81×1024個です。

 このように,物質量と個数は比例関係(一方が2倍,3倍,…,となれば,他方も2倍,3倍,…,となる)になっています。物質量をn〔mol〕,数をN〔個〕とおくと,

   1mol : 6.02×1023個 = n〔mol〕 : N〔個〕

   よって, Nn × 6.02×1023 , n

 物質量と数の変換は,慣れるまでは1つ目の「比の式」で計算し,慣れてきたら後の2つの式で求めるようにしていきましょう。

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