高校化学Net参考書実験指針書「化学基礎」 > 硫黄の同素体

「硫黄の同素体」の実験の目的

 同じ元素からできているが性質が異なる単体を,互いに同素体といいます。同じ元素からできた単体なのに性質が異なるのは,原子のつながり方などが異なるからです。

 ここでは,斜方硫黄を加熱してから冷却することで,異なる同素体へとつくり変えます。加熱の程度をうまく調整することで,単斜硫黄とゴム状硫黄をつくり分けることができます。同素体は互いに結晶の形や感触が異なる(つまり性質が異なる)ことを実感させることが目的の実験です。

準備

  • 器具の準備
    • 全体
      • 粉末ろうと×1(硫黄粉末用)
      • 薬さじ×1(硫黄粉末用)
    • 班ごと
      • 試験管×2(斜方硫黄作成用,ゴム状硫黄作成用)
      • ガスバーナー×1
      • マッチ×1
      • 試験管はさみ×1
      • ろ紙×1
      • 100mL-ビーカー×1
      • ピンセット×1
  • 試薬の準備
      • 硫黄粉末(斜方硫黄)

実験操作

  • 単車硫黄の生成
    1. 試験管に硫黄粉末(斜方硫黄)を薬さじ2杯程度入れる。粉末ろうとがなければ,薬包紙などで代用できます。
    2. ろうとにセットするときと同じようにろ紙を折り,カラッポの100mL-ビーカーにセットする。
    3. 硫黄を穏やかに加熱して融解する。このとき,硫黄の色が黒っぽくなると失敗です。
    4. 融解した硫黄をろ紙に流し入れる。
    5. 硫黄が冷えて固まり始めたら,ろ紙を開く。
    6. 硫黄の結晶の形を観察する。針状の結晶になっていれば成功です。
  • ゴム状硫黄の生成
    1. 試験管に硫黄粉末(斜方硫黄)を薬さじ2杯程度入れる。
    2. 100mL-ビーカーに80mL程の水を入れておく。
    3. 硫黄を加熱する。
      (硫黄が融解する→黒くなる→流動性がなくなる→さらに加熱を続けると流動性がでてくる)
    4. 硫黄をビーカーの水に流し入れる。
    5. 硫黄をピンセットで取り出し,感触を確認する。弾力があれば成功です。

注意点

  • 加熱しすぎると,試験管の口で硫黄の蒸気に着火することがあります。驚いて試験管を落とさないように注意しましょう。
  • ちなみに,ここでつくるゴム状硫黄は褐色になると思いますが,不純物の少ないゴム状硫黄は他の同素体と同じように黄色だそうです。この事実は高専に通う17歳の青年によって確認されました。

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