化学基礎の「テルミット反応」の実験について,分かりやすく解説しているNet参考書です。
高校化学Net参考書 ~実験指針書「化学基礎」~
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「テルミット反応」の実験の目的
日常生活や社会を支える物質の例として,金属があげられます。機械や建築物,電線,飲料用の缶などとして多方面で大量に利用されています。中でも鉄は,生産量が圧倒的に多いことは言うまでもありません。
自然界に存在する鉄は,酸化物の形で産出されます。『鉄鉱石から純粋な鉄を得るために化学反応が利用されていること』を伝えることを本実験の目的とします。
純粋な鉄が得られたことは,磁石を近づけたときの様子や電気伝導性で確認することができます。これらの確認方法は,小・中学校で教えられているので,生徒も容易に考えられると思います。
反応としては,後で学習する酸化還元反応を利用します。鉄よりもイオン化傾向の大きいアルミニウムなどの金属を反応させることで,酸化鉄(Ⅲ)を還元して単体の鉄を得ます。化学反応式は,次のようになります。
Fe2O3 + 2Al → 2Fe + Al2O3
鉄よりもイオン化傾向が大きければ,アルミニウム以外の金属でも反応させることが可能ですが,ここではアルミニウムを用いる実験を紹介します。
ちなみに,テルミット反応で鉄を得る方法は実用的ではありません(コストの高いアルミニウムを製造する必要があるため)。実際には,コークス(炭素)と石灰石(炭酸カルシウム)を加えて溶鉱炉で熱する方法で製造されています。
準備
- 器具の準備
- 全体
- 電子天秤×2(酸化鉄(Ⅲ)粉末用,アルミニウム粉末用)
- 薬さじ×2(酸化鉄(Ⅲ)粉末用,アルミニウム粉末用)
- 班ごと
- スタンド×1
- リングアーム×1
- マッフル×1
- ろ紙×1
- 砂皿×1
- 100mL-ビーカー×1
- ピンセット×1
- 試薬の準備
- 酸化鉄(Ⅲ)粉末
- アルミニウム粉末
- マグネシウムリボン
実験操作
- スタンドに固定したマッフルに,折ったろ紙を入れて水でぬらし,マッフルの下に砂皿を置く。
- 酸化鉄(Ⅲ)粉末2.4gとアルミニウム粉末0.9gを100mL-ビーカーで混合して1.のろ紙に入れ,マグネシウムリボンを立てる。空いたビーカーには水を入れておく。
- 装置に不備がないことを確認してから,マグネシウムリボンに点火する。
- ピンセットを用いて3.で得られた塊を取り,水の入ったビーカーに入れて急冷する。
- 得られた塊が鉄であることを確認する。(磁石に引き寄せられるか,電気を通すか,など)
注意点
- 反応時に火花が散ります。机の上には,プリントなどの燃えやすいものを置かないようにしましょう。
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