化学基礎の「蒸留」の実験について,分かりやすく解説しているNet参考書です。
高校化学Net参考書 ~実験指針書「化学基礎」~
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「蒸留」の実験の目的
沸点の違いを利用して,混合物から純物質を分離することができることを確認する実験です。時間vs.温度のグラフを書かせることで,この時期にグラフに慣れさせることも必要だと思います。時間的な余裕があれば,入試や問題集でよく見られる「冷却水を流す向き」も確認させたいところです。冷却水を上側から流すと,冷却水が満たされず「流しそうめん」状態になるので一目瞭然です。
教科書などでは,塩化ナトリウム水溶液を用いる実験が載っていることが多いです。海水の淡水化へと話題をもっていくことができるからでしょうか。ここでは硫酸銅(Ⅱ)水溶液を用いて蒸留をおこないます。有色の水溶液を用いることで,溶媒のみが取り出せることを視覚的に捉えるためです。
準備
- 器具の準備
- 全体
- 電子天秤&薬さじ(実験班の数に応じて適当な数)
- 班ごと
- 200mL-枝付きフラスコ×1
- リービッヒ冷却器×1
- アダプタ×1
- 100mL-三角フラスコ×1
- スタンド×2(枝付きフラスコ用,リービッヒ冷却器用)
- 温度計×1
- ガスバーナー×1
- 三脚×1
- 金網×1
- 穴あきゴム栓×3(器具の連結用)
- 100mL-ビーカー×1
- ガラス棒×1
- マッチ
- 試薬の準備
- 硫酸銅(Ⅱ)五水和物
- 沸騰石
- アルミニウム箔
実験操作
- ビーカーに硫酸銅(Ⅱ)五水和物1gを取り,100mLの水に溶かす。
- 枝付きフラスコに沸騰石数個と硫酸銅(Ⅱ)水溶液100mLを入れる。
- 写真のように装置を組み,冷却水をゆっくり流す。
・溶液は,枝付きフラスコの容量の半分以下にする。
・温度計の球部は枝の高さにする。
・アダプタは密閉しない。 - ガスバーナーで加熱し,1分ごとに温度を記録する。
・グラフ用紙(エクセルファイル)のダウンロード
注意点
- 枝付きフラスコに水溶液を入れるとき,枝を上向きにして入れるようにする。下向きにすると,枝が水溶液で濡れてしまう。
- 装置を組んで冷却水を流すとき,流しに捨てる方のゴム管の位置に注意する。また,あまり勢いよく水を出させない。
ちなみに,赤ワインを蒸留するという方法もあります。色素が分離して無色の液体が得られます。また,留分を一定の体積ごとに取り分けると,エタノールの多い留分だけ青い炎を出して燃えます。エタノールと水の沸点にも触れて話をすることができます。
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