高校化学Net参考書実験指針書「化学基礎」 > 分離法

「分離法」の実験の目的

 化学基礎の序盤で,多くの分離法を学びます。生徒自身に分離の手順を考えさせることで,生徒が種々の分離法を理解できているかどうかを確かめるための実験です。ここでは混合物の分離操作の流れを,一例として紹介します。他にも考えられる方法がありますので,生徒の考えや発想力を尊重してください。

準備

  • 器具の準備
    • 全体
      •  特になし
    • 班ごと
      • 100mL-ビーカー×1(混合試料配布用,ろ液用)
      • スタンド×1
      • 丸底フラスコ×1
      • 三脚×1
      • 金網×1
      • ガスバーナー×1
      • マッチ×2(昇華法用,蒸発乾固用)
      • ガラス棒×1
      • ろうと×1
      • ろ紙×1
      • 蒸発皿×1
  • 試薬の準備
      • ヨウ素
      • 硝酸カリウム
      • 沸騰石

 実験方法を生徒に考えさせる場合,事前に申請のあったものをセットしておきます。もちろん,実験しながら新しく必要なものが出てきますので,上記の器具は用意しておいてください。

実験操作

  1. ヨウ素,硝酸カリウム,沸騰石を適当に混ぜて,混合試料をつくっておく。生徒配布用に,薬さじ1杯ずつを100mL-ビーカーに取り分けておく。
    (このとき,ヨウ素の割合が少ない方が3.の昇華の時間を削減できる。)
  2. 三脚,金網の上に混合試料の入ったビーカーを乗せ,その上に冷水の入った丸底フラスコを乗せてスタンドに固定する。
  3. ヨウ素がすべて昇華するまで穏やかに加熱する。(ヨウ素の分離)
  4. 残った混合試料が冷めてから,水を加えて硝酸カリウムを溶かす。
  5. これをろ過する。ろ紙上の沸騰石は少量の水で洗う。(沸騰石の分離)
  6. ろ液を蒸発皿に入れて,蒸発乾固する。(硝酸カリウムの分離)
    (硝酸カリウム水溶液は,混合物であることに注意させる。)

注意点

  • 有機溶媒でヨウ素を抽出した後に蒸発皿で蒸発乾固しようとすると,有機溶媒に引火して危険です。また,ヨウ素も気体になってしまって回収できません。。
  • 硝酸カリウム水溶液を冷やして再結晶しようとする場合,ろ過の段階で熱湯が必要です。また,熱湯の量に気をつけないと,冷やしても回収できないことがあります。
  • ろ液をすべて蒸発乾固すると,時間がかかります。純物質が得られればいいとして,少量のみを蒸発乾固することをお勧めします。
  • 蒸発乾固の際,ろ液や結晶が跳ねることがあるので注意しましょう。
  • ヨウ素が洗い落としづらい場合,ヨウ化カリウム水溶液で洗浄するとキレイになります。

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